しつけ以前の大前提

犬にとって、飼い主は単なる食事を与える存在ではなく、心から信頼し、安心して頼ることができる存在であるべきです。

ですが、飼い主はリーダーにならなければいけない、「リーダー」という言葉から、

「犬になめられないようにしなければならない」「厳しく接して従わせる必要がある」と考える人もいるかもしれません。

 

ですが、本当に犬が信頼できる飼い主とは、威圧的な態度で犬を従わせる人でも、必要以上に厳しく接する人でもありません。

犬に信頼される飼い主になるためには、一貫性、犬を守るという強い気持ちを持ち続けることが大切です。

 

犬はとても敏感な生きものであるため、飼い主の感情や態度の変化をすぐに察知します。

そのため、飼い主の態度が日によって違ったりすると、

犬は混乱し、安心して飼い主に頼ることができなくなってしまいます。

 

犬にとっての「頼れる存在」でいられる飼い主は、犬に安心感を与えます。

また、犬との関係を築くうえで重要なのが、「揺るがない強さ」を持つこと。

これは決して犬に対して威圧的に振る舞うことではなく、どんな状況でも落ち着いて対処できることです。

 

たとえば、犬が興奮して吠えたり、パニックになったりしたときに、飼い主まで一緒に慌ててしまうと、

犬はさらに不安を感じてしまいます。

 

そして、犬にとって飼い主が「守ってくれる存在」であることを理解させることも大切です。

犬が怖がっているときや不安を感じているときに、ただ「大丈夫だよ」と声をかけるだけではなく、

具体的に犬が安心できる環境を整えることが必要です。

 

たとえば、散歩中に他の犬に対して警戒している場合、無理に近づけるのではなく、

犬の気持ちを尊重し、安全な距離をとってあげること。

 

 

また、犬は本来、飼い主の指示を頼りに行動します。

指示が明確でなかったり、その場その場でルールが変わったりすると、

犬はどう行動すればよいのか分からなくなってしまいます。

 

たとえば、ある時はソファに乗ることを許されて、ある時には叱られるといったように、一貫性のない対応をしてしまうと、

犬は混乱してしまいます。

 

そうではなく、「こうすれば良い」「こういうときはこの行動をすればいい」と、分かりやすく導いてあげることが必要です。

 

犬との暮らしでは、犬が安心して過ごせる環境を提供することも大切なことです。

正しい接し方・犬への伝え方

犬のしつけにおいて、「ダメ!」「イケナイ!」と叱る方法は、一般的ですが、

必ずしも効果的とは限りません。特に、犬がなぜその行動をするのかを理解しないまま叱ると、不安や混乱を招き、逆に問題行動が悪化することもあります。

また、「この問題行動にはこの方法が絶対に正しい」と一つの方法にこだわるのも注意が必要です。

犬の性格や環境、学習歴によって適切なしつけの方法は変わります。

 

たとえば、吠え癖を直す場合でも、「恐怖から吠える犬」「要求吠えをする犬」「警戒吠えをする犬」では、

それぞれ原因に応じたアプローチが必要になります。

そのため、しつけの際は「叱る」よりも「どうすれば望ましい行動へと導けるか」を考えることが大切です。

犬をよく観察し、犬にとって分かりやすく、ストレスの少ない方法を取り入れることで、しつけの効果が高まります。

 

 

しつけの目的

しつけの目的は、「してほしくない行動をやめさせること」ではなく、「望ましい行動へ導くこと」です。

そのため、単に叱るのではなく、犬が理解しやすい形で適切な行動を学べる環境を作ることが大切です。

ただし、「叱らない=何もしない」ではなく、適切な対応をとることが重要です。