犬の発達過程:新生児期から性成熟期まで

犬は誕生してから成犬になるまでの間に、さまざまな発達段階を経て成長していきます。

 

 

 

新生児期(誕生~生後約2週間)

この時期の子犬は目が開いておらず、耳も聞こえない状態。

嗅覚と味覚は発達している。

体温調節がうまくできないため、母犬や兄弟犬と寄り添って体を温める。

自力で排泄ができず、母犬が舐めることで刺激を与え排泄を促す。

生後10日から14日ほどで目が開き始め、外の世界を徐々に認識するようになる。

 

 

移行期(生後2週~3週)

目が開き、視覚が発達し始める(ただし、まだぼんやりとしか見えていない)。

音に反応し始める。

兄弟犬と遊ぶようになる。

歩くことができるようになり、活動範囲が少しずつ広がる。

乳歯が生え始める(特に犬歯)。

母犬以外の存在にも興味を持つようになる。

 

 

 

 

社会化(生後3週から14週)

犬の生涯の中で最も重要な時期のひとつ。

この時期に経験したことが、成犬になってからの性格に大きな影響を与える。

母犬や兄弟犬との関わりを通じて、咬み加減やコミュニケーションを学んでいく。

好奇心が旺盛で、新しいものに対する適応能力が高いが、同時に警戒心も芽生え始める。

 

 

若齢期(生後3か月から6か月)

好奇心が強く、新しいことをどんどん吸収する時期。

この時期は学習能力が高いため、基本的なしつけを進めるのに適している。

社会化が十分でないと、警戒心が強まり吠え癖や怖がりな性格になりやすい。

引き続きさまざまな環境に慣れさせることが重要。

 

生後6か月から12か月の思春期

第二の社会化期(反抗期)とも呼ばれ、精神的に不安定になることがある。

自立心が芽生え、飼い主の指示を無視するような行動が増える。

性ホルモンの影響で、オスはマーキング行動、メスは発情期が始まる(犬種によって時期は異なる)。

引き続き社会化を意識しながら、しつけの継続が重要な時期。

 

 

性成熟期(生後12カ月~)

心理的にも大人になり、安定してくるが、個体差が大きい。

社会化がしっかりできている犬は、落ち着いた成犬としての振る舞いが身についてくる。

社会化不足の場合は、警戒心が強まり、他の犬や人に対して攻撃的になることも。

この時期は、若い頃の経験が成犬としての性格を大きく左右するため

継続的にトレーニングや社会化を意識する。