犬の学習
犬のトレーニングにおいて、「タイミング」はとても大切な要素のひとつです。
犬は過去の出来事を振り返って考えるのではなく、常に「今、この瞬間」を生きている生きものだからです。
私たち人間は、過去の経験を思い出し、時間をさかのぼって学習することができますが、
犬は基本的に目の前の出来事に対して反応し、そこから学びます。
そのため、犬がある行動をとった瞬間を的確に捉え、それに対して適切なタイミングでフィードバックを与えることが、
効果的な学習につながります。
たとえば、「おすわり」を教えているときに、犬が指示通りに座った瞬間を逃し、
数秒後にほめたり、ごほうびを与えたりすると、 犬は「おすわり」という行動に対してほめられたのではなく、
その後の別の行動、たとえば、立ち上がったり、周りを見回したりする動作に対して報酬をもらったと誤解してしまう可能性があります。
こうなると、犬は何をすれば正解なのか分からず、学習がスムーズに進まなくなります。
また、逆に、犬が望ましくない行動をとった際に、タイミングがずれて叱ってしまうことも問題になります。
たとえば、犬がテーブルの上の食べ物を盗み食いしてしまったとします。
このとき、飼い主がすぐに対応せず、数分後になってから「ダメでしょ!」と怒った場合、
犬は「今、怒られている理由」が分かりません。
犬からすると、「ただ何もしていないのに飼い主が突然怒りだした」という認識になります。
犬に何かを教える際は、正しい行動ができた瞬間を逃さずに、すぐにほめたりごほうびを与えたりすることがとても大切です。
一般的に、犬がある行動をとった後、1~2秒以内にフィードバックを与えるのが理想的とされています。
タイミングがずれてしまうと、犬は「何をすればほめられるのか」を正しく学ぶことができません。
その結果、飼い主の指示に対する反応が曖昧になったり、トレーニングの効果が薄れてしまったりすることがあります。
犬の行動を観察し、適切なタイミングで正しいフィードバックを与えることが、効果的なトレーニングのポイントです。
逆に、「今日はほめられたけど、昨日は何も言われなかった」というように、
フィードバックが不規則だと、犬は混乱してしまい、なかなか学習が進まなくなることがあります。
犬の学習をスムーズに進めるためには、
①犬の行動をよく観察すること
②適切なタイミングでフィードバックを与えること
③一貫したルールで対応すること
これらを意識することが重要です。
犬は適切な方法で教えれば、学習する生きものです。
犬が理解しやすい形で学習をサポートしてあげることが大切です。